ステイ先で学ぶ政歴シリーズ 国内編12〜東京都 三鷹 大学内に残る戦跡〜第2章

前章では、現在の国際基督教大学の校舎と敷地は大学創立前、秘密研究所だったとお話しましたが、一体何の研究を行なっていたのでしょうか?

本章では、中島飛行機と日本が抱いていた、知られざる壮大な計画とそれを実現しようとした研究についてお話ししていきます。

超重爆撃機「富嶽」

1941年、日本はアメリカ、イギリスなどの連合国に宣戦布告し、第二次世界大戦に突入しました。

緒戦は中島飛行機が開発した戦闘機・爆撃機の活躍もあり、日本軍はアジア・太平洋地域で連戦連勝を遂げていましたが、中島飛行機の創始者、中島知久平は日本の継戦能力の限界を感じており、早期に戦争を終結させるためには、米国国民に「自らに差し迫る脅威」を与えなければならず、それを可能とするには、誰も思いつかないような作戦と、作戦遂行できる機体を開発しなければならないと考えました。

そこで中島知久平は、長大な航続距離を持つ爆撃機を用いてアメリカ本土を空襲し、爆撃後その長大な航続距離を生かして当時同盟国だったドイツまで飛行し、着陸する。という前代未聞の計画を立案しました。

この計画内の長大な航続力を持つ爆撃機というのが「富嶽」で、中島飛行機の開発計画によると、全長45m、全幅65m(全長、全幅共にB-29の1.5倍)、爆弾搭載量20トン(B-29の2.2倍)、航続距離19,400km(B-29の3倍)の6発エンジン機(B-29は4発機)という巨大機です。

あの世界最強レベルの技術力と工業力を持つアメリカでさえもB-29の開発と生産、運用には手が余り、頭を悩ませていたというのに、技術力・工業力共にアメリカの足元にも及ばない当時の日本には富嶽の開発は夢物語と言わざるを得ない状況でした。

しかし、中島飛行機はすぐに中島飛行機三鷹研究所で設計と開発を行い、中島飛行機の研究者と設計者達はクリアしなければならない諸問題を次々に解決してゆき、遂に1944年に設計図を完成させ、完成に王手をかけました。

しかし、ここで富嶽に暗雲が。

1944年6月下旬にマリアナ沖海戦の敗北により、日本の空母機動部隊が壊滅し、日本が保有するマリアナ諸島の重要拠点、サイパン島は完全に孤立。

翌月7月上旬にはサイパン島が陥落し、日本が定めていた「絶対国防圏」は崩壊しました。

サイパン島を含むマーシャル諸島が長距離の航続距離を持つB-29を保有する米軍に制圧されたことで、日本本土が空爆の危機にさらされる事態になってしまいました。

日本軍は、米本土に対する攻撃能力を持つ爆撃機の開発より本土防空任務が遂行できる戦闘機の開発・生産を指示。

これにより、富嶽の研究は事実上中止とされてしまい、そのまま完成の日の目を見ないまま終戦を迎えてしまいました。

中島飛行機三鷹研究所のその後

サイパン島陥落を受け、富嶽研究の中止を強いられた中島飛行機三鷹研究所ですが、軍部より新たな指令を受けることとなります。

それは、ジェット戦闘機の開発です。

1944年当時、既にドイツではジェット戦闘機「Me262」が実戦配備されており、本土爆撃の危機が高まった日本は、「Me262」の国産化を推進し、この研究は高い技術力を持つ中島飛行機に託され、最高峰の航空研究設備として機能していた中島飛行機三鷹研究所にて研究開発が行われます。

ドイツからジェットエンジンの実物と図面が運ばれてくる予定でしたが、ドイツから日本へ航行中の潜水艦が撃沈されたため、機体外見を撮った写真しか存在せず、独力での開発を求められました。

しかし、写真を見ただけで中島飛行機の技術者はジェットエンジンを完成させてしまいました。

そうして作り出された初の日本製ジェット戦闘機「火龍」と「橘花」で、量産体制に入ろうとしていました。

ようやく目処が立ちましたが量産体制が整うまでに終戦してしまい、試作機の生産のみで終わってしまいました。

因みにこのジェットエンジンですが、1950年代に国際基督教大学キャンパス内にて発掘され、現在は国際基督教大学内で保管されています。

戦後は兵器研究所から一転し、平和を重んじる校風の大学となりましたが、世界に通用する人材を多数世に送り出しているところをみると、日本を世界と肩を並べる素晴らしい国にしたいという、中島知久平の、いや日本人全員が抱いていた、本当の芯の部分は今もこの地で続いているのだと感じます。

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