〜あの日見た飛行機雲〜 国際線機長40年の想い 第七章 天候=未知との遭遇7−4

サンフランシスコの「 霧 」

ある日東京での会合の後、宴席に参加した時のことです。

何人かの乗員の仲間と悪天候時の仕事の話になりました。

やれ東南アジアだ、香港だ、冬のヨーロッパだと言ってるところに、当時の運航担当役員で元機長のSさんが車座に入られました。

「Sさん、昔サンフランシスコでDC8のオーパイ(オートパイロット自動操縦)で凄い霧の中、降りましたよね、覚えておられますか?」

「あー、あれお前と一緒の時だよね、二度と無い霧だったから良く覚えているよ」

「あれは色んな意味で勉強しました、仕事の後の酒も美味かったですし」

当時DC8シリーズでオーパイをつないだままILS(精密進入)をやる人は少なかったです。
その当時の自動操縦は途中で大きな負荷がかかると切れたり、いれるタイミングも難しく、扱いにくい面が多かったためです。

十字形のFD(操縦指示器)を自分の操縦で追いかけて行く人が殆んどでした。

その中で戦後教育を受けたグループのS機長は自動操縦をつないだまま進入限界ぎりぎりの「霧のサンフランシスコ」へ進入していったのです。

路線審査も兼ねているフライトで厳しいと評判の会社の試験官は、後席に座って居られなくて仁王立ちしていました。

私も未だ経験の少ないFOで、右席で指示を受けたり注視しておりました。

S機長は、DC8-50シリーズのオーパイは前に試しているし、この方が安全だと平然としています。
一方の私はスピードや高度を注視しながら、その様な操作をする人は初めてだったので、内心ドキドキしながら見ておりました。

規定の進入限界直前で滑走路が見え、オーパイを切り着陸しました。

当時、着陸までは自動化出来ていませんでしたので。

飛行機のシステム、操作も全て知り尽くしていないと自信も伴わず、他の乗員を納得させる説得力は発揮できないと、その時思い知らされたものです。

勿論社内審査は合格で、食事後はSさんの知り合いのサンフランシスコの店で祝杯を重ねました。

その時の話でS機長は「天気の良い時に何回か試していたので自信があった」と言いました。

戦後派機長の技量プラス「アルファ」の研究熱心な面を見せられ感銘を受けました。

当時のサンフランシスコの空港売店には「サンフランシスコの霧の缶詰」があり、そういうジョークは嫌いではないので購入して帰り、家に置いておりました。

その後FOやCAPTで何回かサンフランシスコに着陸しましたが、缶詰のおまじないが効いたのか、「霧」で悩まされることはありませんでした。

その後何回かの引っ越しの間に、その「缶」は文字通り霧散してしまいました。

きっと身代わりになって霧となって消えたのでしょう。

第七章7ー5に続く・・・

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