NICE FLIGHT!(ナイスフライト)ドラマ第2話 航空専門家による考察

パイロット志望者の皆さまこんにちは!理事長・パイロット養成コンサルの冨村です。

パイロット志望者お待ちかねのテレビドラマ「NICE FLIGHT!(ナイスフライト)」が、2022年7月22日(金)からテレビ朝日系列でスタートしました!

7月29日(金)は第二話が放送。副操縦士の倉田 粋(玉森 裕太)と、倉田 粋(玉森 裕太が気になって仕方がない声の主(倉田はまだ気づいていない)である、航空管制官の渋谷 真夢(中村 アン)が、搭乗訓練によって同じ羽田青森便に乗務。

その後、エンジンからのオイルリークに起因する欠航。

さらに、雪国、青森空港の定時運航に多大な貢献をしている除雪隊(ホワイトインパルス)の伝説の隊員を訪ねるうちに、偶然にも二人が再会するという奇跡的な展開です。

このブログでは、ドラマをご覧になられたパイロット志望者の方が興奮したであろう場面や、その詳細解説、実際の現場のお話などを解説する「パイロット目線 感想コラム」です。

一部ネタバレ等を含まれておりますため、本ドラマをご覧いただいてから、コラムをご覧いただくことをおすすめします。

TVerなどでも見逃し配信を行なっております。

 テレビ朝日 ドラマ公式サイト

副操縦士から機長になるまでの期間は会社により異なる

副操縦士も機長も、操縦を行うことが出来る資格者に変わりはないのですが、フライトの最終責任者である機長になるまでには、会社によって異なるものの、概ね6年〜12年の期間がかかり、その間に、多くのフライトや、複数の機種を経験する必要があります。

機種によって限定資格が異なることから、乗り換える機種次第では、数ヶ月に渡る機種移行訓練がかかります。

こうしたことから、運航路線や機種も多い大手航空会社では、副操縦士期間が長くなる傾向にあり、10年を超えることもあるのです。

倉田 粋(玉森 裕太)と、その同期、岡島 瑛人(佐伯 大地)の会話シーンより。

「機長昇格まで約10年かぁ。なのにライセンスは一年毎に審査を通らないと、即乗務停止だなんてさ。華やかな世界に見えてシビアだよな」

〜中略〜
「今回は身体検査だ。俺、最近ロングフライトが増えてて、生活リズムが不規則なんだ。国際線あるあるってやつ」

パイロットの仕事は、仮に国内線のパイロットであっても、早朝出発のフライトもあれば、夜遅くや、たまに深夜の貨物便などもありますので、生活リズムが不規則になりがちです。

例えば朝7時発のフライトに乗務するとしても、空港にショウアップするのは6時。

副操縦士は早めに到着して準備など入念に行いますので、5時半くらいでしょうか。

ともなると、自宅を出るのは4時半とか。起床は3時ですね。国内線乗務だって、生活リズムは不規則になりがちです。

さらに国際線(特に時差のある地域への路線)の乗務では、体力的な負担は増大します。

お客様は長時間のフライトをいかに快適に過ごすか、格闘されていらっしゃると思いますが、パイロットにとっては、乗務人数次第では基本的には寝ることが出来ないことから、ある意味睡魔との戦いです。

もちろん本当に寝てしまってはいけませんから、乗務時間が睡眠時間と重ならないようにフライト前に仮眠を取るなど調整をして乗務するのですが、時差がある地域へのフライトですと、ステイ先に到着したら昼前、なんてこともありますので、いくら疲れているからと言って太陽が出ている時間帯にそのまま寝てしまうわけにも行きません。

なぜならば、ご飯を食べるタイミング(お店の開店時間など)や、帰りの乗務に合わせた体調管理を考えると、結果的には一度現地時間に合わせる形になってしまうからです。

このようにパイロットの生活は不規則になりがちなのですが、そのような中でも第一種航空身体検査を適合し続けなければならないため、苦労が多いのです。

よく「機長になったら一人前」と言われますが、それは最終責任者である機長がいなければ、フライトが成立しないからです。副操縦士になるまでも、もちろん大変な道のりですが、さらにその先にある機長になるため、さらにその機長であり続けるために、パイロットは日々、健康に気遣いながらも、勉強や訓練や体調管理、つまり精神鍛錬の毎日を過ごしています。

パイロット以外の仕事でも、一生努力が続く点では同じですね!

機材故障により欠航するが・・・

女性機長の喜多見 七海(吉瀬 美智子)と副操縦士の倉田 粋(玉森 裕太)が操縦する羽田空港発青森行きに、倉田 粋(玉森 裕太)が気になる声の主である航空管制官の渋谷 真夢(中村 アン)が搭乗訓練としてジャンプシートに搭乗するという奇跡的な話。

そこからさらに奇跡が続いて行きます。運命の二人なのでしょうね〜

青森空港に到着した時、青森空港の整備士がコックピットに入って来て、エンジンからオイルリークがあることを説明し、結果的に、乗務予定だった折り返し便が欠航となってしまいます。

航空機は機種によっても異なりますが、1機あたりで多くて600万点に及ぶ部品数で構成されており、全てが正常というわけではありません。

例えば、お客様用の個人ディスプレイが点かないなど、フライトに影響のない故障も含みます。

つまり、壊れているものやその破損程度によって、通常通りの運航ができるのか、それとも何らかの特殊なオペレーションが求められるレベルなのか、完全に修理をするまで飛ぶことが出来ないレベルなのか、などなど、事細かに規定されています。

今回は完全な欠航との話で、東京に帰れなくなった副操縦士倉田 粋(玉森 裕太)は青森にステイすることになります。

(別便のジャンプに乗るなど、方法はまだありそうでしたが、よほど運命に導かれたのでしょうね〜笑)

青森空港の除雪隊「ホワイトインパルス」が登場

出典:青森空港除雪隊ホワイトインパルス|青森県庁

世界有数の豪雪地帯にある青森空港には「ホワイトインパルス」と名付けられた除雪隊がいます。

滑走路の横幅は60mあり、スノープラウ・スノースイーパーなど10台の大型除雪機が、幅30mの編隊を組み1往復すると、滑走路上の除雪が一気に出来る様子から、ホワイトインパルスと名付けられました。

滑走路だけでなく、誘導路や駐機場など、総面積55万平方メートル(東京ドーム12個分)の面積を、計37台の除雪機と人力で、40分で行っているそうで、青森空港の定時運航に欠かせない存在、航空機利用者のヒーロー的存在となっています。

ホワイトインパルスについて詳しく知りたい

操縦士の倉田は、以前からホワイトインパルスに興味を持っていたようで、企画展の準備をしていた職員から「ホワイトインパルスの伝説の隊員」を紹介してもらい、訪ねて行ってしまいます。

雪国ではよくある話で、除雪隊と言っても、隊員は兼業農家さんであることがほとんどです。

雪国や農村に暮らしたことがない方にはイメージが付きにくいのですが、農家さんは何でも屋であることが大半

農作業には重機が欠かせませんから、重機オペレーターでもあるし、整備だって自分でやってしまう方が多いです。

大工さんも出来る農家さんも多く、都会の方が思っていらっしゃる以上に、農家さんは生きていくために何でも出来てしまいます。

雪国の農家さんは、冬になると農作業が出来なくなりますが、逆に雪さえ降っていれば、仕事はいくらでもあります。

スキーリゾートなどの冬季従業員だけでも、たくさんの仕事がありますね。

ゲレンデを整える圧雪隊、リフト(鉄道法上の交通機関です)の運行、整備、ホテルの接客、食堂の厨房係などなど。

スキーリゾート外でも、道路の除雪、屋根の雪下ろし(定期的に下ろさないと家が倒壊するほど雪は重い)など、仕事は山ほどあるのです。

青森空港のホワイトインパルスも、地元の複数の会社から構成されているそうで、作品中に登場する「ホワイトインパルス伝説の隊員、渋谷勝成(小野武彦)」も、グリーンシーズンはりんご農家(多分ほかの野菜も育てている)、そして冬になると、ホワイトインパルスの隊員(重機オペレーター)として、青森のインフラを支えている、というお話です。

ホワイトインパルス伝説の隊員、渋谷勝成のセリフより。

「何がホワイトインパルスだ。ただの名もなき除雪隊だ」

、、、というセリフに、全ての苦労が語られている気がします。

パイロットや管制官だけではない、たくさんの人々が関わっている航空機の安全運航

パイロット志望の皆さまに是非とも認識頂きたいのが、航空機の安全運航には、これだけ幅広い職種の方々が関わっているのだ、という感謝の気持ちが必要不可欠である、という点です。

そもそも、安全運航とは簡単に成せるものではありません。

なぜならば、100%の安全は存在しないからです。

その理由を話せば長くなるので、このコラムでは割愛しますが、少なくとも、航空安全を支える現場では、そのような意識で取り組んでいるからこそ、航空機は、死亡事故に遭いにくい一番安全な乗り物、として言われるようになりました。

その安全は、幅広い現場の大勢の方の安全に対する思いと苦労の結果、最終責任者であるパイロット(機長)に預けられるものであり、フライトとはその集大成なのです。

だからこそ、パイロットは精神的に強くなければいけないし、どのようなことが起きても、最後にパイロットがお客様を無事に地上へ返さなければなりません。

副操縦士の倉田 粋が、目に余るほどにお節介で、感謝を伝えるという言動に人の何倍も執着する部分も、これからパイロットを志望する皆さまには見習って頂きたいと思いますし、NICE FLIGHT!(ナイスフライト)はそんな良い作品になっていくのだろうと期待しています。

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