〜あの日見た飛行機雲〜 国際線機長40年の想い 第三章

=ブレリオ=初めて洋上飛行を成功させた飛行家

ブレリオは、ドーバー海峡横断を初めて成し遂げた人物です。

たかだか30数キロのドーバー海峡横断飛行ですが、初期の航空史において非常に大きな意味を持っていました。

それまでの飛行機は「草地の飛行場」の見える範囲内の上空で、エンジンが止まれば即飛行場に戻るという飛行が主でありました。
その様な飛行機で海を越えるというのは冒険以外の何物でもない時代でした。

英仏を隔てる海で一番狭い箇所がドーバー海峡(約30キロ)で、デイリーメール紙などが横断飛行達成者に賞金を懸けていました。

1909年7月に初飛行を競ったのがブレリオⅪ、ライトフライヤー、アントワネットⅣの3機で、フランスからの横断を計画していました。

7月25日に仏カレーから飛び立ったブレリオは36分55秒かけてドーバー城下の草地に着陸、横断に成功しました。

懸賞を獲得したのみならず、フランス政府のレジオンドヌール勲章を授与され、出発地の海岸はブレリオ海岸(Bleriot-Plage)と命名される栄誉も受けています。

私が見たドーバー

1969年、私は副操縦士(FO)として北回りの欧州線に乗務してロンドンに滞在していました。

時間の有った一日フライトエンジニア(FE)のU氏がドーバー城への観光に誘ってくれました。
U氏は木村秀政氏か佐貫亦男氏の本を持っていて、それにはブレリオが横断に成功した地点がドーバー城の下で記念碑も在るとあったことを記憶しています。

ブレリオは飛行機の黎明期に、英仏海峡の最初の横断者であり名前だけは記憶にありました。

ロンドンの街は美術館や博物館が沢山そろっていて散策には困らないですが、たまには郊外も良いとU氏と出かけました。

ドーバー城も旧い町並みも心地よく、今も印象深い一日として記憶に残っています。

ブレリオの記念石が置かれて居る所はドーバー城の隣にある英軍施設内で、見に来たと言ったら警備をしていた兵士が宿舎らしき建物の横にある場所まで道案内してくださいました。

このブレリオが着陸した箇所は、平らな草地に着陸したというより、やっとの思いでドーバー城の立つ白い断崖の上に、飛行機の高度を無理やり上げて、やっとの思いでガシャンと座りこんだ様に思える場所でした。

「記念碑」というのは胴体や翼型が、舗装されてない地面の凹凸其のままに道路の敷石のようにうねった形で、飛行機の姿をしていました。

多分ブレリオも鳥がチョコンと飛び乗ったように、着陸したのではと想像できました。

ドーバー城下の町の協会に付属したプチ民俗学博物館のような所には、この当時のブレリオの写真が沢山残っていました。

先程見て来た記念碑の形通りに車輪が壊れて座り込んだブレリオ機の横に、大勢の英国人に囲まれたブレリオが写っていました。

このプチ博物館は、古いランプなどの生活用品からブレリオの記念写真までイギリス人の旧いものを大切にする気持ちと、自分達が住んでいる町の歴史を大事にする気持ちが良く伝わってくる展示で心温まる気持ちになったことを覚えています。

ブレリオはこの偉業の後、各国からの注文や軍用(第一次大戦時の各国の軍用機)の注文で多忙を極めることとなります。

このブレリオⅪの改良型は宙返りも成功させ、初期の軍用機として重要な機体でありました。

ライト兄弟もそうですが、自身の夢を全面的に評価してくれるのは結局軍で、自身の夢が戦争に使われてしまうのは航空人の宿命なのかもしれません。
ジブリ映画「風立ちぬ」でも同じような苦悩が感じ取れました。

最近では、100周年の2009年7月25日ブレリオⅪレプリカ機で仏人パイロットが45分でドーバー海峡を横断も成功させており、ブレリオのスピリッツは今も大空を愛する人々に継承されています。

第三章に続く・・・

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