ステイ先で学ぶ政歴シリーズ 海外編10〜ロシア 一番近いヨーロッパ、ウラジオストク〜

皆さん、ドーブライ ジェン!(ロシア語でこんにちは)

JAMBO STAFFの伊藤です!

今回はロシアの極東の都市、ウラジオストクについてです。

ウラジオストクには成田空港から約2時間ほどで行くことができる、日本から「一番近いヨーロッパ」です。

空港から一歩外に出ると、あら不思議。

日本から2時間しか離れている場所とは思えないようなヨーロッパならではの光景が広がります。

今回は、この不思議な土地、ウラジオストクの歴史についてお話ししていきたいと思います。

ウラジオストクの和訳はちょっぴり怖い!?

ウラジオストクは1860年に当時「清帝国」だった中国からロシアが獲得した土地で、ロシア帝国の極東における影響力の最重要拠点として都市の建設を進めました。

当時は弱肉強食の帝国主義の時代で、各国が血眼になってアジアなど世界中に植民地を拡げていました。

ロシアもそれに倣い、アジアに領土を増やしていきました。

中国からこの地を得たロシアの次なる目標は、中国東北部の満州、朝鮮、そして日本でした。

そのことから、ロシアの侵略拠点である同地には、「東方を支配する町」という意味の「ウラジオストク」という名称が付けられました。

ウラジオストクと日本の意外な関係

そんな日本を含めた東方を支配すると名付けられた都市ですが、一時期日本に占領された経験があります。

時は1918年、ロシアでは日露戦争の敗戦と、その後の抑圧的な政策、続く第一次世界大戦での苦戦とそれに伴う経済恐慌により、国民不満度は頂点に達し、ロシア革命が起きました。

ロシア革命の結果、帝政ロシアにかわってボリシェヴィキ主導のソビエト連邦が成立し、その抵抗勢力である帝政ロシア残党の保護と支援、ロシア領内に取り残されたチェコ軍団の救出を名目に連合国各国が出兵することとなりました。(実の所は帝政時代の外債の回収とロシアの銀行資産を奪い取るという非常に利己的なものでした)

第一次世界大戦時、連合国だった日本も出兵し、ウラジオストクに上陸、占領して連合国軍の拠点としました。

連合国間の協定では、出兵の兵員を8000人程度、期間は1920年頃までと決めていましたが、ロシア沿岸部とシベリアに影響力を保持し続けたい日本は協定の数十倍の兵力を動員し、シベリア奥地に進出して1922年まで駐留を続けました。
しかし、最終的には何の成果も挙げられずに国際社会に批判されながら撤退しました。

この占領期間に多くの白系ロシア人(共産主義に反対するロシア住民と帝政ロシアの残党)がウラジオストク経由で日本に多く渡り、在日ロシア人として定住することとなりました。

有名な在日ロシア人の人物としては、読売巨人軍の大投手、ヴィクトル・スタルヒン選手や有名な洋菓子の老舗、「モロゾフ」の創始者のヴァレンタイン・F・モロゾフ氏が挙げられます。

余談ですが、モロゾフ氏は、自身の名前の「ヴァレンタイン」を使い、現在ではすっかり日本の習慣となっている、バレンタインデーに異性にお菓子を贈るという習慣を広めた人物です。

また、白系ロシア人の血を引く人は美男美女だということでも有名で、現在の芸能界でも白系ロシア人の血を引く方が多く活躍されています。

このように日本とウラジオストクの関係は以外にも深く、現在のジャパンカルチャーに大きな影響を与えています。

日本撤退後、ソ連領となったウラジオストクは、長らく日本とは交流はありませんでしたが、1991年にソ連が崩壊すると、ウラジオストクと日本の多くの空港の間で定期便が就航し、再び交流が盛んになり始めました。

今ではアニメなどのジャパンカルチャーの影響もあり、ロシアでは日本語や日本文化を学習することが流行しており、日本に一番近いウラジオストクは、日本好きなロシアの人々の最前線で、至る所に日本語教室があったり、日本食レストランやアニメショップがあったりと非常に親日的な都市です。

現在はロシアのウクライナ侵攻とそれによる政治的・経済的対立でせっかく日露間の間で訪れていたいい空気が再び澱んできてしまいましたが、これから先また状況が好転したら皆さんも是非、日本から簡単に行くことができる「お手軽ヨーロッパ」としてウラジオストクまで遊びに行ってみてはいかがでしょうか??

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