〜あの日見た飛行機雲〜 国際線機長40年の想い 第七章 天候=未知との遭遇7−2

 雨 

1973年春、DC8の機長として主に東南アジアを飛んで居ました。

この航路では、春先から夏にかけて日本の梅雨前線と同じ様な雨の前線帯(ITC)が必ずと言って良い程、航路を横切る形で上下していました。
大人しい時も活発な時でも、この路線では横切って行かなければいけません。

一つ思い出話をしますと、あの日はシンガポールから出発する時に、飛行場がどしゃ降りに見舞われていました。

飛行機の外部点検で外に出ると、バケツをひっくり返したという表現そのままに、地表から跳ね返った雨粒が下から降ってくる雨の様で、レインコートの下のズボンはずぶ濡れになるほどでした。

さあ離陸という時になってFOが、
「キャプテン、大丈夫ですか?空気より水の方が多い気がします。」

「推力を上げるのに水噴射するエンジンも有るから大丈夫だよ。」

「エッ?」とFO。

離陸のため推力を上げて走り出す、FEも身を乗り出して推力を調整してくれます。

滑走路は何処の飛行場もカマボコ型に中央が高くなっていて、さらに「グルービング」といって滑り止めの為路面に細い溝が切ってあります。

それにもかかわらず、大きな水溜まりの中を走り出した感じで少し走ると、ワイパー(DC8は窓の下から圧搾空気を出す)の効果が無く、雨粒と水しぶきで前方が全く見えません。

危険を感じた私は滑走路上で止まり、管制にリジェクト(離陸中止)を告げ、もう一度滑走路の端に引き返すことを伝えました。

FO「潜水艦みたいでしたね。」

CAP「前輪で跳ね上げた水が前の窓まで来ているみたいだ、少し様子を見よう。」

他に離陸機のいない時だったので滑走路の端で様子を見て、小降りになったのを見計らって出発した。

「いやー、凄い雨だったねー。」「機体は綺麗になったと思うけどねー。」

「日本では経験したことない雨量ですねー。」

飛行機にとって普通雨は視界を悪くする程度で、気温が低く機体や滑走路に氷結しない範囲であれば問題は少ないです。

通常雨粒の大きさは1~0.3mm程度で、より小さいものは落下の途中で蒸発したり、大きなものは0.3mm程度に途中で分解するといわれています。

しかし熱帯地方では温帯地方より、雨の水滴は大きめのものが多いと言われています。

先のシンガポールの雨は、空気の量が少ないのではと感じさせる雨だったので
「非常に激しい雨」か「猛烈な雨」の部類だったのでしょう。

雨量の観測というのは有る一定時間の観測後に気象台や管制塔から貰うので、どうしても現実と有る程度の時間差は出てしまいます。

また「スタンデイングウオーター」と言って、滑走路が水溜まり状態になっているときは運航制限が起きる場合もあります。

水はけの悪い飛行場は要注意だが、運航前に一定以上の雨量が観測されたときは此の制限を考慮しなければなりません。

日本では雨の種類を表す言葉が豊富で、季節や降り方また地方にも独特の言葉があったりします。

雨で感じる「うっとおしさ」を風流に変えていますが、熱帯に近い所では、驟雨やスコールという言葉で表される雨が殆んどだと思われ、とても風流では片付けられない、災害のレベルです。

第七章6ー3に続く・・・

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