パイロット不足って本当?
パイロット志望者の皆さまこんにちは!理事長・パイロット養成コンサルの冨村です。
「パイロット不足」という言葉をよく聞きますね。
確かに一般的にパイロットは不足していて、現場のパイロット達はオーバーワーク気味です。
特に、コロナ禍が収まってきた昨今、急激に航空需要が増えてパイロット達は法定ギリギリまで残業をしています。
実際、PJ SFAの卒業生であるパイロット達から非常にお忙しいとのご報告を受けています。
しかし、エアライン採用や私大航空操縦の受験は年々倍率が上がり、難易度が高くなっているのが現実です。
それではなぜ、パイロット不足と言われるのに、パイロットになるのは依然として狭き門なのでしょうか。

実は「パイロット」はたくさんいる
「パイロット不足」とだけ聞くと、飛行機を飛ばせる人が極端に少なく、航空業界が困っているのではないかとどうしても考えてしまいます。
しかし、意外な事ですが日本国内に航空機操縦免許を所持している人は大勢いるのです。
数十年前と違い、多くの国内フライトスクールが開校していたり、海外に航空留学へ行く敷居もずいぶん低くなったことにより、操縦免許自体は取りやすくなりました。
現在、航空操縦に興味があるリタイアした方だけでなく、最近では現役のサラリーマンも国内フライトスクールに通ったり、航空留学をして免許を手に入れられるようになっています。
ある程度のお金と時間をかければ、誰でも「パイロット」にはなれます。
特に航空留学をすれば訓練校にもよりますが、かなり簡単に免許を取得することができます。TVやYouTubeで見たことがあるかもしれませんが、アメリカやカナダではフライト免許を持っている一般人は割といますからね。最近はドローンに代わられてきていますが、向こうの農家も農薬散布に小型機を使用したりと飛行機が彼らの生活に欠かせないものになっていることもあります。
しかし、「パイロット」になったとしても、「職業としてのパイロット」になれるかはまた別問題。
ここをしっかり理解しましょう。

足りていないのは「職業としてのパイロット」
説明した通り、パイロットになることは今の時代お金と時間さえかければできるので、欧米に比べれば少ないですが日本国内にはそこそこの数のパイロット(免許所持者)はいます。
しかし、彼らがエアラインに入社して「職業としてのパイロット」になれるかというと話は別で、そのほとんどがエアラインパイロットになっていません。
なぜなのかというと、職業としてのパイロットというものが非常に責任が重い職業で、それ故に求められるものは多くなるからです。
ですからエアライン各社がパイロットを採用する際には、様々な厳しい基準を設定せざるを得ず、結果として内定倍率が跳ね上がるということになっているのです。エアラインパイロットの登竜門である私大の航空操縦科も同様です。
高い合格基準設定のおかげで、非常に優秀な人材のみがエアラインパイロットになるというメリットはありますが、あまりにも高い基準過ぎて多くの人数を採用できず、エアラインパイロットの数が少なく、現役パイロット達がハードスケジュールになってしまっているという現実もあります。
つまり、話をまとめると日本には「パイロット」は大勢いるけれど、エアライン各社が求めている人材のハードルは高いため「職業としてのパイロット」は不足している。ということなのです。
国内フライトスクールや航空留学の斡旋会社の謳い文句として「航空操縦免許を取得して、エアラインパイロットを目指そう」というものを多く見かけますが、免許を持っているからといってエアライン採用に有利になる事はなく、寧ろ年齢的な事を心配されたり、変な操縦の癖が指摘されたりとかえって不利になる事が多いので要注意です。
実際に、JAMBOまでお問い合わせいただいた中にも何名か航空留学の斡旋会社の話に乗ってしまい、外国で免許取得後、エアラインパイロットを目指して何度かチャレンジが上手くいかず、JAMBOが運営するPILOT専門進学塾で対策指導を受けたいという方々がいました。
彼らは皆、彼らなりの努力を精一杯してきたという事は相談してみて分かりましたが、エアラインパイロットとして必要な専門的な適性が足りておらず、それを指導していくには時間がかかり、それを行なったとすると年齢的な問題で採用基準外になってしまい、現実的にエアラインパイロットになれる見込みがない事をお伝えした上で他の道を探すようにアドバイスをしました。
そのような悲しい思いをする人を今後1人でも生まない為にも、私たちはこうして情報発信を続けていくし、パイロット志望の皆さまも確かな情報を掴んで自身の夢に向かってもらいたいと思っています。
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